2020年12月21日月曜日

「はじめての草刈り」動画

「Farm Roots Visions」さんが、 草刈り講習の動画をアップしてくれました。

とてもいい編集をしてくれています。以下、Utubu動画の説明より。


少し季節は遡り、9月末のお話です。 田舎で暮らす方々にとってはおなじみの「草刈り」ですが、 全く草刈りに縁のなかった私たち(ゆうすけ・ちさと)が 草刈りの講習を受けてきました。 草刈り機に触るのももちろん初めて。 田舎に移住する上で、 「草刈り大変だよ〜」など いろいろ話は聞いてきましたが そもそも「草を刈らないといけない」状況に立ったことがないので なんとなく他人事のような気持ちでいました。 今回、草刈り講習のお話を頂いた時は 草刈機の使い方が知れたら十分。と思っていましたが、 それ以上にたくさんのことを知ることができました。 今回の草刈りの先生、藤村さんからは 動画にはおさまらないほどのたくさんの教えがあり、 草刈り初心者の方も、そうでない方も是非参考にして頂ければと思います。 藤村さんのサイト( https://yama-boushi.blogspot.com/ )
============================= 今回は愛知県在住、恵那市に移住予定の ゆうすけ・ちさと(伊集院夫婦)目線の動画です。 実は、この度私たちは 「移住希望」から「移住予定」になりました。 今回の動画のような、移住初心者の目線の動画も出していけたらと思っています。 お楽しみに!!

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2020年12月4日金曜日

2021年以降の目標

庭師業界は高齢化が進み今年引退した親方も何件かおられます。シルバー人材センターも若い人の参加が少なく、近所の庭の手入れをしていたお父さんももう脚立に登れないとかで隠居することが多くなりました。そんなタイミングで独立したこちらとしては、仕事があってありがたいことですが、このままでは庭はほったらかしにされ、田んぼには木が生えてしまいます。

「 緑の便利屋さん 山奉仕」は、開業して3年を超えました。2年で顧客100件の目標を達成し、3年で150件近くになってしまいました。のんびりと一人親方として、自分のペースで仕事をしていくつもりでいたので、今年は仕事をあまり受けないようにしていたのですが、そういう状況ではなくなってきました。

こちらにはまだ仕事が軌道に乗らない移住者もいますし、コロナで休みが多く子育てに困っている若い世代もいます。まだまだ働ける65歳程度の人もたくさんいます。これらの人たちに「仕事を与えていける存在にならなければならない」と思うようになってきました。庭木の手入れに興味がある人には剪定指導を。庭木に興味がなくてもただ収入がほしいという人には掃除や草刈りや剪定ゴミの片付けなどで仕事を作っていかなければならないと思うようになりました。

来年からは仕事も積極的に受けて、どんどん周囲に回していけるようにならなければならない。世代的にもそういう責任があるのではないかと考えるようになりました。

写真は今年度受講している恵那市の庭木剪定市民講座の様子です。「恵那庭木の会」というボランティア団体の方々が一般の恵那市民に向けて開催されています。講座のやり方を勉強するために参加させてもらっていますが、本当はこういう講座はプロがやらなければいけないなと思いました。専門学校や工業農業高校などもそうですが、プロがやらないから技術や知識が伝わっていかず、間違った知識も広がってしまいます。大工さんや左官さんや瓦屋さんや畳屋さんなど、今職人の技術が途絶える瀬戸際にあります。来年度はこんなこともやっていきたいと思っています。

恵那市民講座の様子
恵那市民講座の様子

2020年10月9日金曜日

栗拾い2020

 恵那市・中津川市は栗菓子の名店がたくさんあります。秋は「栗きんとん」なる銘菓が大人気で、たくさんの観光客が訪れます。

恵那中津川地域は、栗の名産地ではありますが、たくさん売れる栗菓子を当地域の栗だけではまかないきれません。

「えな笠置山栗園」は、グリンピア恵那の跡地を日本一の栗畑にしようと、10年ほど前に立ち上がった地元の有志によって作られた栗農園です。やっと栗の収量も増えてきたのですが、高齢化が進み、草刈り・栗拾い・剪定などいつも人手不足です。

三内丸山遺跡では、縄文時代から栗の栽培が行われていたことが分かっています。そんな栗で地域の農業を興こしていこうというその心意気に打たれ、僕も時々手伝いに行っています。

今年は栗拾いイベントを限定100人で8日間行い、たくさんのお客様が参加してくれた模様です。お客様と農園の互いにウインウインのイベント、よく思いつきましたね。







2020年8月23日日曜日

お客様がブログに書いてくれました

見積に行ったお客さまが、ブログに書いてくれました。これからも、植物に対する敬意を忘れずにいたいと痛感しました。

「人間の「おこがましさ」を感じたこと」

ちょうどひと月ほど前でしょうか、新型コロナ(COVID-19)の第2波が来ると言われ始めた頃の2020年7月13日、お盆のため私は実家がある岐阜県に帰省をしておりました。

祖父母が数年前に他界して以来、実家の庭は荒れ放題です。草花が好きだった祖母が毎日目についた草をちょんちょんと摘んで抜いていた姿を思い出すと、日々の些細な行いが、どれほど大事であったのかと痛感します。

そこで隣町に住む庭師さんに連絡を取り、この荒れ放題となった庭を見てもらい、アドバイスをもらう事にしました。夕方、仕事帰りに立ち寄ってくださった庭師さんは、わが家の庭を見て苦笑い。「庭の手入れ以前の問題ですね」。

私は信州の自宅から草刈り機を持参していましたので、どこから手をつけて良いか教えを請いました。そう、私は背丈を超えるほどにジャングルと化したこの草々と、どう戦ったら良いでしょうか?と尋ねたのです。

しかし、庭師さんの答えは違いました。

植物が持つ " 力 " の奥深さを淡々と語ってくれたのです。原始の地球に出現したストロマトライトという藻が地球に酸素をもたらしたこと。植物が光合成を通して、地球上に住む生物の環境を整えていること。幾多の生存競争を繰り返して、植物はその植生を広げている事。

庭師さんが静かに語る話に耳を傾けているうちに、私は「植物を相手にしても、これは勝てないぞ」とだんだんと思えてきました。目の前の庭は、道路を挟んで竹林に繋がり、竹林を下ると棚田を抜けて里山、そして恵那山の峰へと続いています。

「私はあの恵那山の峰へと続くこの広大な緑の連なりに戦いを挑もうとしていたのか?」と考えると、何だか目眩を感じてきました。人間が草を薙ぎ倒し刈り取ったところで数日もすれば、その晒された屍の下からはまた新しい芽吹きが始まる。

「私(人間)が挑もうとしていたことは、きっとムダなのかもしれない。いいや、そもそも植物を相手に戦うという考え方がきっと『おこがましい』に違いない。」そういう思いに気持ちが変わりはじめました。

庭師さんにアドバイスを頂いた翌日、私は前日までと全く違う気持ちで庭に立っていました。

今年の長引く梅雨を幸いとして、草刈り機をゆったりと構え、ホウキで掃く様に優しく草の中を進みます。決して戦いを挑もうなどと傲る気持ちではなく、「どうも、おじゃまいたします」という素直な気持ちでした。

祖父母が愛でて楽しんでいた、あの庭の姿に近づくことは難しいかもしれません。何年かかかることとは思いますが、私は私なりに植物や庭に寄り添うことができたらいいなという思いで、今はおります。

あれから一月余が経ち、実家がある市内でもCOVID-19の感染者が判明したそうです。なかなかすんなりと帰省がしづらい世情があります。でもそんな中、実家の荒れ放題であろう庭の事を想うと、今の私はとても愛おしく思えてならないのです。

https://note.com/hachinosuke_883/n/n3ac9fef9c9be?fbclid=IwAR3JgzyBGNvk4FRVgJkzjobC2q6SW6hLZxbCUbDyxlIMpR0e9wAxDOS4FL0



恵那山



2020年7月25日土曜日

植物ってすごい!


この連休は「飯地高原自然テント村」にて子どもたち向けに「植物ってすごい!」という話をしました。
植物好きの自分としては、以前からこういう紙芝居みたいなものを作って伝えていきたいと思って構想を芽っていましたが、今回テント村が企画してくれて、絵も描いてくれて実現しました。 
なかなか子どもたち相手に話すのは難しいですね。まだまだ修行が足りません。












2020年7月22日水曜日

草刈り指導

恵那市笠置町に移住してきた芸術家の青年。副収入として草刈りを仕事にしようとしているそうです。
プロとしてやっていく上で、本格的に草刈りを教わりたいと申し出てくれました。
講習場所は、彼の新居周辺と地元の高齢者の田んぼの法面を選びました。
経験者ということでしたが、「教わった一言一言を絶対に忘れません」との重いお言葉をいただきました。


初心者でも、経験者でも、草刈り講習をやっていますので、お声掛けください。
田舎暮らしに草刈りは欠かせません。経験者でも意外と知らないことがあると思います。
きれいに・楽に・早く刈るにはどうすれば良いか?皆さんにお伝えしたいことがたくさんあります。
例えば、「刈るのは機械であって、あなたではない」ということです。あなたは機械のお手伝いをするだけです。
また、「草刈りの目的は草を殲滅させることではなく、草と共存すること」です。草と戦う気持ちを捨ててください。

具体的にはこんなことを伝えています。

<機械について>
刈払い機の選び方は?
女性に合う刈払い機は?
使用方法に見合った排気量は?
両手ハンドル・片手ハンドル、どちらが良い?
エンジンがかからなくなる原因は?
最低限のメンテナンスは?
肩掛けバンドはダブルが良いか、シングルが良いか?

<刈り方について>
ひもと刃の使い分けは?
どんな刃を選べば良いか?
どんなひもを選べば良いか?
刈り高はどの程度が良いか?
草の種類で刈り高を変える?
刈った後、伸びにくい方法は?
刈り高が一定になるポジションは?
刈り残しが出てしまう理由は?
刈り幅はどの程度が良いか?
往復で刈るか、片道で刈るか?
刃のどの部分で刈るか?
ひものどの部分で刈るか?
刈る順序が大事?

<安全について>
どの程度まで石は飛ぶか?
ゴミの飛ぶ方向は?
足を刃で切らないためには?
安全性を高める服装は?
法面で滑らないためには?
熱中症になりにくい服装は?
ヘビ・ハチの対策は?

「緑の便利屋さん 山奉仕」では、草刈りや剪定をセルフでできる人を増やしていきたいと思っています。

2020年6月27日土曜日

剪定指導 刈込と剪定

中古の家を買って、庭がついていましたが、どうやって管理していけば分からなかった若夫婦。
手入れの依頼をされていましたが、せっかくだから一緒にやって剪定を覚えましょう、ということになりました。

まずはツゲの刈り込み
 まずは刈り込みを覚えました。円い形をイメージして、それを形にするのは意外に難しいのですが、ご主人はなかなか才能があります。


モミジの剪定にもチャレンジ
 刈込も、アジサイの剪定も、モミジの剪定も、基本的にはみな同じなのです。
というか、山奉仕流剪定では、すべて同じ考えでやることができるように整理してあります。
基本は「陽当たりと風通し」なのです。

モミジ施工後
はじめても剪定でも、ここまでできました。
もちろん、私の指導があってのことですが、来年からは自分でやってみるとのことです。
もし失敗したら手直しに行きますので、チャレンジしてみてください。
自分で手入れをすると、もっと愛着が湧きますよ。

2020年6月9日火曜日

おじいさんのお庭を手入れしたいお孫さん

祖父の家を引き継いだお孫さん、せっかくおじいさんが手入れをしていたお庭を自分でも手入れできるようにしたいと、剪定指導をすることになりました。

まずは剪定についての説明

ツツジの刈り込みをやってみよう
 刈り込みの多いお庭なので、刈り込みを覚えればほとんど自分でできるようになります。


ほら、初めてでもここまでできた
でも、刈り込み鋏は女性には重たいし、あれでなかなか技術の習得には時間がかかります。で、電動バリカンを使ってもらいました。

電動バリカンはコードを切ってしまうのが怖い。
コードを切らないようにする方法もお教えします。

「軽くて全然つかれな~い。楽しい~」と、喜んでいただけました。
来年は自分でやってみるとのことです。自分でできない高い所は私を呼んでください。
自分でやってみると、意外と奥が深くてたくさん疑問が湧きます。疑問が湧いたら何でも質問してください。

刈り込みの手順
1、軽く全体を手で振る
2、枯れ枝、逆さ枝、徒長枝、ヒコバエを取る
3、丸く刈り込む
4、もう一度手で振る
5、飛び出してる枝をもう一度刈り込む
6、切り口の固い所を少し輪郭の内側で外す
7、全体の濃さを整える
8、再度手で振ってゴミを綺麗に落とす

これが刈り込みの基本手順です。基本のはずなのに、現状はプロの庭師でもなかなかここまでちゃんとやりません。手間をかけて料金が上がるのを、お客様が嫌がるからです。でも、ここまでちゃんとやれば本当に綺麗になりますし、一年経っても形が崩れません。
料金がかかるのが嫌であれば、ご自分でできれば良いのです。自分でやれば、料金のことを気にせず納得いくまでできるのです。
ちょっと指導を受ければ女性でもできます。お勧めです!

2020年5月15日金曜日

里山デザイン(森の幼稚園くりくり・飯地テント村)



この一か月は「里山デザイン」な一か月でした。

中津川市蛭川の「森の幼稚園くりくり」では、枯れ木の伐採をして、子どもたちの安全確保のためのお手伝いをさせていただきました。それと共に、子どもたちが遊びやすいような場にするために、園路作成の提案や、伐採した丸太を使っての遊具の提案をさせていただきました。

森の幼稚園くりくりFacebookページ
https://www.facebook.com/inochimori.kurikuri/

画像に含まれている可能性があるもの:木、植物、屋外、自然



画像に含まれている可能性があるもの:木、植物、屋外、自然
「森の幼稚園くりくり」こんな森の中で幼稚園を開園しています



 恵那市飯地町の「飯地高原自然テント村」では、竹で覆われた山林を、どうデザインしたら良いかという相談を受けました。

「飯地高原自然テント村」HP
https://iijitentomuracamp.localinfo.jp/

<施工前> 人の入れないような竹藪でした
 竹藪をかき分けて中に入ると、その中には貴重な広葉樹の芽生えがたくさん見られました。枯れ木を伐採し、竹をコントロールできれば、ここが美しい森に生まれ変わると確信しました。周辺の竹は残し、そこから3m部分は1mを残して伐採し、中心部分は完全に伐採するという提案をしました。そうすることで周辺部分だけに竹を残すことができます。

<施工後> 森は生きています。これで完成ではありません。
 竹と枯れ木を伐採し、切った丸太は刻んで園路の境に置いていきました。これでとりあえず人が入れるようになりました。今後は水路を整備したり、木に名札を付けて、お客様に楽しんでもらえる空間を作っていきたいと考えています。

庭や森は生き物で構成されています。常に成長を続けており、完成ということはありません。テント村には今後も月一回づつ入って管理をし続けていきたいと思っています。

2020年4月17日金曜日

新型コロナウイルス対応

岐阜県にも緊急事態宣言が発令されました。
庭仕事は基本的に人と濃厚接触をする仕事ではないので、通常営業を続けます。
強いて言えば、10時や3時にお茶を出していただく時に多少の接触をしてしまうことがあるかもしれません。
そういうことがないように、当分の間お茶を頂くことを断ることがあるかもしれません。
その点ご容赦ください。

2020年3月12日木曜日

高木の松の剪定

本日は中津川市落合、室町時代から続くというお宅の樹齢何百年の古~い松の剪定。
何年も放ってあったこともあり、大きく伸び切っています。
古木なので、小枝にも力がありません。
中までしっかりと日を当ててやらなければ元気にならないと思われます。

施工前
後ろの田んぼを日陰にしてしまいます。

施工前
二段梯子でやっと届く高さ。
幹の太さにも注目。直径で大人二人分。

施工後
今回は葉むしりもせず、とにかく小さく縮めることに専念しました。
でも、これだけの大きさですから、2人がかりで2日かかりました。
内側からたくさんの小芽が出てきてくれたら良いのですが。
先祖から受け継がれてきた長寿の古木ですから、元気になってほしいと思いました。

2020年2月28日金曜日

移植・植栽作業

恵那市長島町のお宅、住宅建て替え工事に伴い、移植やら植栽やら。
「これとこれをこっちに移して、これとこれは買ってきて植えて」と、完成後も「やっぱりこれはこっちへ移して」と何やら色々やりました。

最初の完成

やっぱ変更
 簡単そうに見えて移植や植栽はなかなか大変なんですよ。
石垣やブロックの近くは砕石で締めてあって、木が植えられる状態ではないんです。
また、それ以外の場所も岩盤であったり赤土であったり、そのまま植えることはできません。
そのまま植えてもすぐに枯れるのが落ちです。植物にとっては日当たりと水と土が命なんです。
石を掘り上げて、増し土をして、バーク堆肥やバーミキュライトで土壌改良をしました。
そして有機肥料を入れて根に栄養をあたえました。
土壌PHを計ると表面は中性寄りですが、根が張る部分はかなりの酸性寄り。植える木によっては灰を混ぜてPHを上げます。

井戸の蓋もお風呂のプラスチックの蓋を掛けてあったので、それでは寂しすぎると、竹で作りました。

竹で井戸蓋
気に入った庭にするためには色々と変更もあるでしょうが、できる限り対応していきます。施主さんからも喜んでいただけて良かったです。

2020年1月27日月曜日

刈り込みのコツ

関東での修行時代、「刈り込みは形だ」と散々口酸っぱく教わってきた僕は、それに違和感を感じ続けていました。
確かに形は大事です。「形」というのは、綺麗に丸くすることや、円柱型にすることを指しています。形が良いということは、太陽の光をまんべんなくあびることができ、そういう意味で大事なことです。
刈り込みで形以上に大事なことはが、他にもいくつかあると思っていました。

イチイの刈り込み前
 刈り込みの手順として、最初にぜひともやりたいことは、熊手などで軽く叩くことです。
それによって絡んでいた枝などが外へ出てきます。また、蜂の巣などがあった場合に中から蜂が飛び出して来るので危険を回避できます。

そして、まずは枯れ枝を取ります。刈り込みを続けてきた木は、必ずと言っていいほど中が枯れ込んでいます。枯れ枝を取るだけで風通しが良くなり、陽の光が差し込みやすくなります。また、枯れ枝は固くて、他の枝と擦れ合うことで、他の枝も枯らしてしまう原因になります。また、枯れ枝は病害虫の原因にもなりますので、枯れ枝を取る作業は時間がかかりますが非常に大事です。

次に方向の悪い枝を取り払います。方向の悪い枝を取ると、穴が開いてしまうことがありますが、一時的に空いてしまったとしても、また塞がることが多いので、穴が開くことを気にせず、思い切って取り払います。どうしても不格好になるような逆方向の枝は、涙を飲んで残しますが。

次に頂点を決めます。どの位の高さが良いか、その場所の環境と、その木の状態から決めます。
それから横幅をどこまで削れるかを決め、頂点と横幅を曲線で描くように刈り込んでいきます。

しかし、これで終わりではありません。刈り込み後の木を全体に叩いてゴミを落とします。そうすると、輪郭線の内側に隠れていた枝がもう一度出てきます。それを再度刈り込みます。

次に、切り口の太いところは、輪郭線の内側で切り戻します。かなり太い枝があったら、それは途中で止めると反発しますので、元から外すようにします。
そして、もう一度木全体を払ってゴミを落とします。内側に引っかかっている枯れ葉や切ったばかりの枝が残らないようにします。これも病害虫を避けるためでもあり、風通し、日当たりのためでもあります。

イチイの刈り込み後
こちらが刈り込み後の写真です。
僕は多少の凸凹があったって良いと思っています。凸凹を直す時間があったら少しでも枯れを取る方に時間を割きたいのです。
「刈り込みは形」と教わってきましたが、僕の思う刈り込みのポイントは「濃さ」だと思っています。うっすらと木の反対の風景が見えるような濃さが理想です。
これが、光と風が程良く差し込む状態であり、木にとって健康的な状態なのだと思っています。

このうっすら光が差し込む濃さを作るためには、枯れ枝を取り除くことや、逆さ枝や太い枝を取り除いてあること、きれいにゴミを払っていること、そして程良い深さに刈り込んでいる必要があるのです。
「刈り込みは形」=「見た目重視」ではなく、「刈り込みは濃さ」=「植物の生育重視」でありたいと考えているのです。
庭師の中には刈り込みを舐めた発言をする人がいますが、僕は庭師修行の中で、刈り込みを覚えることは、樹木の手入れの真髄に触れる第一歩であると思っています。

刈り込み鋏を使うもよし、電動やエンジントリマーを使うもよし、最近では充電式電動トリマーも販売されています。どれもお勧めです。
一般の方も、ぜひとも実践してみてください。

2020年1月26日日曜日

ヒドツバタゴ(なんじゃもんじゃ)剪定

「ヒトツバタゴ」は「なんじゃもんじゃ」とも呼ばれ、東アジアの中国や韓国にはありますが、日本には対馬とこの東美濃地域にしか自生していない珍しい木です。
日本列島が大陸と地続きだったことの証なんだとか。
私の住む恵那市笠置町の笠置山で、大正時代に本州ではじめて発見された木が、今も天然記念物としてご存命です。
この東美濃地域では、かつてこのヒトツバタゴを植えるのが流行った時期があったらしく、どのお宅のヒトツバタゴも皆大木に育っています。

今回は、大きくなりすぎたヒトツバタゴを、できる限り小さくとのご依頼です。


こういう大木の剪定は、なるべく根本に近い芽のある所で切ります。
芽のない所でブツ切りにすると、枯れ込んでしまう可能性があります。
根本側にたくさんの小枝があるように見えますが、陽の当らない根本側はすでに枯れていることが多いのです。
なるべく小さくと言われても、上の方しか芽が無ければ、低くできないか元から切るしかありません。
ここら辺がかなり難しい所です。
見ての通り、10段梯子でやっと下枝へ届く程度なので、登りこんで.切りますが、危険な作業であることも難しい所の一つです。


で、これが施工後です。だいぶ小さくなりました。
しかし植物の手入れは生き物ですので、実はこれで終わりではありません。
工業製品とは違って育つものです。
これから春になって芽が吹いてきて、その様子を見なければなりません。
枯れてくる部分もあるかもしれませんし、陽が当たって内側から新たな芽が吹いてくるかもしれません。
一年後に、どんな様子になっているかが楽しみです。

2020年1月13日月曜日

サクラ高木冬期剪定

「サクラ折るバカ、ウメ折らぬバカ」と言いますが、サクラも剪定しなければどんどん大きくなってしまいます。
サクラはとても風通しと日当たりを求める木なので、剪定をせずにほったらかすと、枯れや病気を発症して、寿命を縮めてしまうことになり兼ねません。
手の施しようのあるうちに、ある程度手を入れた方が良いと思います。
サクラは切り口から腐れがおきる木です。だから「サクラ折るバカ」と言ったのだと思います。
しかし、切り口をちゃんと癒合剤で保護してあげれば腐れを予防することができます。
サクランボ農家さんは、毎年実を成らせるために剪定をしています。
なるべく健康で寿命を延ばすために、剪定をしています。

写真は恵那市内のとある工場内のサクラの剪定です。
サクラなどの落葉樹の強剪定は、冬に行うのがお勧めです。

元気そうに見えますが、内側の枝はほとんど枯れています。

壁や道路を傷つけないように、ロープで吊り切りしました。
料金は高木剪定につき20,000円+助手12,000円+ゴミ処理代軽トラ2台10,000で、42,000円です。それに今年から消費税10%を頂いています。