2018年1月22日月曜日

「植物好き」って?

現場でお客様にお茶をご馳走になると、「どうしてこの仕事を選んだのか?」という質問を受けます。僕は決まって「植物好きで」と答えます。すると、「植物好きってどういうこと?」と聞かれるのです。「ちょっと意味が分からない」という感じです。「ほら、電車好きとか車好きとか山好きとかいますよねえ、そんな感じです」と答えています。「意味なんかない、ただ好きなんです」としか答えられないのですが、今日はちょっと理屈をこねて敢えてそれを言葉にしてみたいと思います。

【聡樹という名前】

僕の名前は「聡樹(さとき)」と言います。日本初のノーベル賞受賞の湯川秀樹博士にあやかって父がつけてくれた名前です。子どもの頃は、珍しい名前なので必ず聞き返されて「嫌な名前だなあ」と思っていましたが、今では気に入っています。「聡い」というのは「賢い・感覚が鋭い・耳がいい」などの意味があり、「聡樹」となると、「樹に対する感覚が鋭い・樹の声を聴く」という意味になるのでしょうか。植物好きで、植物と関わる仕事をする上で、本当にいい名前を付けてもらったと、亡くなった父には感謝しています。

【植物ってスゲー!】

・植物は二酸化炭素を取り入れて、酸素を作っています。植物がなければ地球上は二酸化炭素だらけになってしまいます。
・花や実や根は食料になります。鳥やハチや虫やリスのエサになります。それらを大型動物がまた食べることができます。
・植物は水を貯えることができます。植物がなければちょっと雨が降れば大洪水、雨がやめば川の水は渇いてしまいます。
・葉や枝が枯れた後、動物のフンや砂や微生物と混ざって土になります。植物のない所に土はありません。また土がなければ植物は育ちません。
・材木や食器や椅子やテーブルになり、紙の原料になり、人間の生活にはなくてはならないものになります。
・薪として温もりを与えることができ、食品を調理するために使うことができ、バイオマス発電やバイオ燃料などのエネルギーにもなります。

ああ、植物のすごいことを挙げればきりがありません。以上は植物全般についてでしたが、それ以外にもスゲーことはいっぱいあります。「梅ってスゲー」「桜ってスゲー」など樹種によって、またそれぞれの草によって、コケ・キノコ・微生物も含めて様々な特徴があり、それらすべてが気候や土や日当たりや、そこにいる他の動物などと複雑に密接に相互に関係し合っているのです。

【尊敬すべき存在】

植物は何も言いません。不平不満や「痛い」「熱い」「寒い」などや、「自分の生きる意味は何だ?」なども言いません。ただ生きることにこんなに沢山の意味があり、死ぬことにも意味があるのにも関わらずです。それぞれの違いを認め合い、長い寿命を生き、短い寿命を務めあげているのです。そんな植物たちは僕にとって尊敬すべき存在であり、自分もそうありたいと目標にすべき生き方を見せつけてくれています。それらと関わる「緑の便利屋」という職業につけたことは本当に幸せなことだと思っています。