カイヅカイブキという木は、大気汚染や潮風にも強いため、昭和の時代に流行した針葉樹で、主に目隠しとして生け垣に利用されてきました。
しかし、この木は剪定を怠って数年放置すると、大きく伸びすぎてしまい、強く刈ると「杉っ葉」と言って、固い枝葉が出てくるようなになり、カイヅカイブキの柔らかさが損なわれてしまうのです。この現象を庭師業界では「先祖返り」と呼ばれています。
カイヅカイブキの杉っぱ |
関東で私が修行していた頃は、「カイヅカイブキは刈り込んではいけない」と教わっていたのですが、当地域ではほとんどのカイヅカイブキが刈り込まれています。時間がかかることと、剪定技術を伝えるのが難しいのではないかと思われます。
山奉仕では基本的に、カイヅカイブキはバリカンや刈り込み鋏で刈り込まずに、剪定鋏を使って剪定しています。山奉仕では「植物にも人にも親切丁寧」をモットーに作業しています。カイヅカイブキの剪定にはとても時間が掛かりますが、その分びっくりするほど綺麗になります。
こちらのご主人は「カイヅカイブキの生け垣がカッチリ四角いのはホントやないんやぞ。ウチみたいにフワフワッとしとらなあかんのやぞ」と奥さまに自慢されているそうです。
カイヅカイブキの剪定 こんな風に優しい印象の木なのです。 |
枯れ枝もしっかり取り除きます。 とても時間がかかります。 |
こちらは別の現場の長年放置されたカイヅカイブキ 残念ながら大きくなりすぎて伐採されることになりました。 |